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’後見・遺言,


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谷中和志司法書士事務所
司法書士 谷中和志(やなかかずし)
静岡県浜松市西区舞阪町舞阪141番地
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メール yk0215@yanaka.biz
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成年後見手続
血は水よりも濃い

 成年後見人を選任するためには家庭裁判所に対して後見開始の審判の申立てを行う必要があります。

 この時、後見開始の審判の申立てを行えるのは(申立人になれるのは)、主なものとして、本人やその配偶者や4親等内(子や孫や兄弟や甥・姪等)の親族です。

 本人も後見開始の審判の申立ての申立人となることはできます。しかし、その本人に対して成年後見人を選任ししているため、本人は判断能力が不十分な状態にあります。そのため、その本人が自分で後見開始の審判申立ての手続を行えるのかは疑問です。

 そのため、後見開始の審判申立ての申立人には、主に家族や親族がなります。

 そして、成年後見人の資格には制限はないので誰でも成年後見人になることができます。成年後見人で1番多いのは、司法書士でも弁護士でもありません。1番多いのは家族(子)です。

 つまり、認知症等になり成年後見人が必要な状態になったら、自分ではもはやどうしようもないので、後のことは家族や親族に任せる他ないということです。

 家族や親族の意見を無視して成年後見人を選任するのは難しいのです。

 すなわち、「血は水よりも濃い」のです。

 その上で、家族や親族がいない場合には、「ときには水は血よりも濃くなる」です。

 意味は、家族や親族がいない場合には、住所地の市長が後見開始の審判の申立人となったり、司法書士や弁護士が成年後見人になるということです。そのため、家族や親族がいなくとも何とかなるものです。

 なお、自分のことは自分で決めたければ任意後見の手続を検討しておく必要があります。



任意後見契約
老後は「自分」任せ

 任意後見とは、自分で自分の後見人を決めておく制度です。すなわち、将来自分が認知症等になった場合に備えておくための制度です。そのため、任意後見の手続は「元気なうちに」行う必要があります。

 手続的には、当事者間(後見される人と後見する人)で任意後見契約を締結しておく必要があります。契約内容としては、委任事項を決めて代理権を授与する旨を規定しておく必要があり、方法としては、公証人役場において公正証書で作成する必要があります。

 手続は意外と煩雑です。

 その上、将来自分が認知症等になるかどうかは分かることではありません。ひょとしたら、認知症にならないかもしれません。そうすれば、任意後見人は不要です。

 そのため、任意後見の手続を行うべきか、行わないべきか悩むところです。

 そもそも、成年後見(法定後見)制度は、昔からあった禁治産制度を改良したものですが、任意後見制度は、ほんの十年ほど前に新たに作られた制度です。

 そのため、任意後見は、成年後見(法定後見)と比べると、まだまだ、馴染みが薄い制度です。

 さらに、成年後見(法定後見)の方が有名すぎるため、任意後見は馴染みが薄いどころか、成年後見と混同されているか、もしくは、全く知られていないことが多くあります。

 すると、「成年後見は認知症等になってからの制度なので、元気なうちは関係ない」となり、任意後見のマイナー化にますます拍車がかかりかねません。

 以上より、任意後見の手続を行おうと思ったら、よほどの深謀遠慮と決断力が必要です。



後見契約の補充契約
自由が一番難しい

 任意後見の補充契約には継続的相談契約と任意代理契約と死後事務委任契約とがあります。

 もっとも、これらは、正式な任意後見制度ではありません。

 そのため、名称についても、継続的相談契約は「見守り契約」、任意代理契約は「財産管理契約」だったりと様々です。なお、死後事務委任契約は「死後事務委任契約」です。他の名称は聞いたことがありません。

 任意後見においては、任意後見契約締結後から任意後見の効力発生するまでの間と任意後見終了後において、いわゆる空白期間が生じるため、補充契約はその空白期間を補うためのものです。

 そのため、必ずしも任意後見契約とセットにしなければならないものではありません。

 すなわち、継続的相談契約については任意後見契約締結後においても常に安否確認ができれば不要ですし、任意代理契約も必要に応じて契約すればよいため事前契約を結んでおく必要はありません。

 そのため、契約当事者間において自由に決めることが可能です。

 もっとも、この「自由」が曲者です。

 自分の好きなように決めることができるとしても、そのためには、「自分はこうしたい」等の自己主張が必要になります。「どうでもいい」や「お任せします」では困るのです。

 自由は意外と難しいのです。

 さらに、成年後見や任意後見については裁判所の監督が及びますが、任意後見契約の補充契約については裁判所の監督が一切及びません。

 そのため、任意後見の補充契約は悪い人に頼むとだまされて損害を被る危険が高いのです。

 だまされて損害を被ると言っても横領だけとは限りません。

 何かの研修のときに聞いた話だと、契約を結んだ司法書士が全ての行為について日当を請求して報酬額を水増請求したこともあるそうです。例えば、毎月報酬を支払っているのに、頼まれて買い物に行ったら別途日当を請求する。さらに、頼まれて知人のお見舞いに行ったらさらに別途日当を請求する等です。

 そのため、任意後見の補充契約については、「どうでもいい」や「お任せします」といった態度だと、痛い目を見るのは自分なのです。

 話が長くなりましたが、ようするに、任意後見の補充契約については、法律上の規定にあるものではないので、必要性に応じて当事者間で自由に決めることができますが、その反面、自分で決めたことについては責任を負う必要があるので、よく考えて決めましょうということです。



遺言書作成
後は野となれ山となれ

 相続の際には、相続人が複数人いれば遺産分割協議が必要になります。

 このとき、相続人のうちに認知症の方がいると遺産分割協議が困難になります。

 すなわち、認知症の方は判断能力を欠く場合が多いので、遺産分割協議に参加できないためです。

 意思能力を欠く相続人が参加した遺産分割協議は無効になる可能性があり、さらに、誰かが代わって遺産分割協議書に署名したり押印すれば文書偽造となりかねません。文書偽造は犯罪です。

 そのため、相続人に認知症の方がいる場合には、成年後見人を選任してその成年後見人が代理人として遺産分割協議に参加するか、もしくは、その認知症の方が亡くなるまで遺産の分割を中断する等の方法くらいしかありません。

 成年後見人を選任すればよいと簡単に言いますが、実際には選任されるまでに数カ月かかりますし、一度選任されると、原則として、後見される方が亡くなるまで後見人としての職務を行わなければなります。

 「成年後見人を選任して遺産分割協議を行っておしまい」と言うわけにはいきません。

 このような場合には、遺言書があれば解決します。遺言書があれば遺産分割協議が不要になるからです。

 しかし、遺言書を準備しておくことは難しいです。

 遺言書の作成自体は難しいことではありませんが、人間が問題に対する対応策を考えるのは、問題が顕在化してからなので、問題が顕在化する前に対応策をとることの必要性を認識することが難しいのです。

 簡単に説明すると、「遺言書なんてなくて大丈夫だよ」「何とかなるよ」と考えてしまうのが一般的なのです。

 そして、遺言書は生前にしか作成することはできず、死後に作成することはできません。

 そのため、「後は野となれ山となれ」となります。

 もしくは、「後の祭り」でもよいです。

 キャッチコピーを「後は野となれ山となれ」にしようか、「後の祭り」のどちらにしようか迷ったくらいです。



任意後見契約と継続的相談契約

 本人の状態  契約締結・契約実行
時間の流れ  まだまだ元気。  任意後見契約を結ぶ。
 継続的相談契約も結ぶ。
 まだまだ元気。  継続的相談を行い、
  安否確認を行う。
 判断能力が不十分になった。
 (認知症等)
 安否確認したところ、
 判断能力が不十分だと判断したため、
  任意後見監督人の選任を行い、
   任意後見を開始する。

任意後見契約と任意代理契約

 本人の状態  契約締結・契約実行
時間の流れ  まだまだ元気。  任意後見契約を結ぶ。
 体が不十になった。
 (入院等)
 任意代理契約を結び、
  代わって財産管理等を行う。。
 判断能力が不十分になった。
 (認知症等)
 任意後見監督人の選任を行い、
  任意後見が開始し、
  任意代理は終了。


任意後見契約と死後事務委任契約

 本人の状態  契約締結・契約実行
時間の流れ  まだまだ元気。  任意後見契約を結ぶ。
 死後事務委任契約も結ぶ。
 まだ判断能力が不十分になった。
 (認知症等)
 任意後見監督人の選任を行い、
  任意後見を開始する。
 本人が死亡した。
 任意後見は終了。
 死後事務を行う。

任意後見の補充契約

 継続的相談契約 ・任意後見が開始する前の段階
・安否確認を行い任意後見人の必要性を判断します。
・任意後見契約から実際に後見人が選任されるまでの期間において没交渉になるのを防ぎます。認知症等になるのはいつか分かりません。数十年後かもしれません。
 任意代理契約 任意後見が開始する前の段階
・任意後見と同様の財産管理業務を行います。
・認知症等により判断能力が不十分にならなければ後見人は選任できません。しかし、後見開始前でも入院等により財産管理が必要な場合もあります。
 死後事務委任契約 ・任意後見終了後の段階
・葬儀・供養等を行います。
・任意後見は原則として本人の死亡により終了します。そのため、本人の死後においては、任意後見や任意代理を根拠に死後事務を行うことはできません。

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